導入

技術としてのトレード

勉強会やマニュアルを通して皆さんにお伝えするのは、知識とその実践的な使い方です。トレード結果は個人の技術により大きく変動します。上達すれば月間100%の利回りも可能ですし、下手ならすぐに破綻します。ハイリスクだといって恐る必要はありません。トレードとは個人の技術なので、理論を学習し、訓練すると上達します。仕事やスポーツと同じです。仕事やスポーツにおいて、理論を学習し訓練して、下手になった事例を私は知りません。投資における訓練の難しい点は、「妥当な理論」がどれなのかはっきりしない点です。どこで教えてもらえるのか、どの書籍に掲載されているのか?という問いに対して明確な答えはないでしょう。仕事であれば、研修やマニュアルがありますし、スポーツであれば、教室や本で学ぶこともできます。しかし投資は正しい理論というものが定められておらず、情報の取捨選択に苦労します。また、一つの正しい理論というものはなく、「妥当な理論」がどこにあるかも不明瞭です。検証を繰り返し、玉石混合の理論を分類することは可能ですが、とても時間がかかります。まずはここで1つの「妥当な理論」を学び、徐々に独自の手法へと変化させていくのが現実的ではないでしょうか。私は1つ1つ検証して2~3年かかって理論を組み上げました。

 

学習と訓練の目的(ギャップフィル)

このマニュアルを読んでいる方が行うべきことは、『学習』と『訓練』です。学ぶべき知識はこれから説明しますので理解するのにそれほど時間はかからないでしょう。問題は、知識を学んだだけでトレードは上達せず、現状と理想のギャップは埋まらないということです。説明している知識は極力定義を明確にしていますが、実際の相場ではそれらが説明した通りには出てきません。また学んだことがランダムに出現します。どのような場合でも学んだ知識を活用し、手順にばらつきはなく、一定のルールに従ってトレードが出来るように、訓練を積まないと成績は安定しません。トレードを始めた段階では、イメージがつかないかもしれませんが、焦らずに、知識を学び、その後に時間をかけて、理想と現実のギャップを埋めていきましょう。

推奨するアプローチ

ギャップを埋めるには、2つのアプローチがあります。知識体系準拠と仮説検証の2つです。私は知識体系準拠のアプローチをおすすめします。有効とされる方法論に沿って、学習と訓練を繰り返すスタイルです。大学受験や資格の取得、あるいは、ビジネスであれば、業務の改善など、様々なシーンで用いられます。仮説検証型のアプローチは正解が全く分からない、誰も行ったことがないことに挑戦したりする際に使われます。いくつもの仮説を段階的に検証していく。とても地道な作業であり、時間がかかります。有効な知識体系があるならば、知識体系準拠の方が時間を効率的に使えます。ここでは投資技術の向上のために裁量取引の知識体系を提供します。

投資技術向上を目指すフレームワーク

技術向上に必要となる要素をフレームワークとしてまとめました。全てにおいて、重要視するのは定義です。裁量取引は人の判断に基づいてトレードを行うので、どこまで行っても曖昧さが残ってきます。曖昧さは迷いを生み、迷いはトレードの成績を大きく低下させます。迷いを持つと、ほかの手法を探したり、入るべきエントリのタイミングを逃したり、普段は使わないツールを使ったりと、余分なことをはじめます。迷いを極力減らすために、自分が行うトレードがどのようなものかをきちんと定義していくことが重要です。

 

目指すべき技術水準

人の技術は3つのレベルに分けられます。右も左もわからない初心者の段階から、考えずに行動できる職人のような段階までの3つがあります。目指すべきはルールベースのレベルです。正しいこと、誤っていることを自分で判断でき、どんな局面でも、自分の成功体験に基づく効果的なルールに則り行動できるレベルです。そのために様々な知識を学び、使いこなせるようになる訓練を行う必要があります。

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